今回読んだ論文「手作り食と家庭でのオーラルケアが犬と猫の口腔健康に与える影響」
The impact of home-prepared diets and home oral hygiene on oral health in cats and dogs
研究の背景
歯周病は犬と猫で最も頻繁に診断される口腔疾患です。2歳までに犬の約80%、猫の約70%が何らかの歯周病を持つと推定されています。
食事と家庭でのオーラルケアは、飼い主がコントロールできる要因として口腔健康に影響を与えることが知られています。本研究は、ポーランドにおける犬と猫の口腔健康の現状を調査し、食事の種類とオーラルケア習慣の影響を検討することを目的としています。
研究の概要
- 対象:犬17,184頭、猫6,371頭
- 場所:ポーランドの700以上の動物病院
- 期間:2006〜2007年
- 方法:覚醒下での口腔検査
各動物について、歯垢・歯石の付着、下顎リンパ節の大きさ、歯肉の健康状態を評価し、合計スコアとして**口腔健康指数(OHI:0〜8)**を算出しました。0が良好な口腔健康、数値が高いほど問題が深刻であることを示します。
主な結果
食事と口腔健康の関連
猫の場合
手作り食のみを与えられた猫は、口腔健康に問題がある確率が**56%でした。一方、ドライフードのみの猫では24%**でした。
市販フード(特にドライフード)を食事に取り入れることで、猫の口腔健康指数は有意に改善しました。
犬の場合
手作り食のみを与えられた犬は、口腔健康に問題がある確率が41%でした。一方、ドライフードのみの犬では22%、ドライ+ウェット混合では**30%**でした。
手作り食の普及状況
本調査では、猫の28%、犬の62%が少なくとも一部に手作り食を与えられていました。
家庭でのオーラルケアと口腔健康の関連
猫の場合
口腔健康に問題がある確率:
- 毎日の歯磨き:12%
- 毎日のデンタルトリーツ:10%
- オーラルケアなし:44%
犬の場合
口腔健康に問題がある確率:
- 毎日の歯磨き:16%
- 毎日のデンタルトリーツ:19%
- オーラルケアなし:37%
毎日のオーラルケア(歯磨きまたはデンタルトリーツ)を受けている犬と猫は、オーラルケアを受けていない動物と比較して、口腔健康問題の確率が有意に低下しました。
オーラルケアの実施状況
本調査では、猫の26%、犬の44%が少なくとも散発的に歯磨きを受けていました。
研究が示唆する点
ドライフードについて
ドライフードを含む食事は、口腔健康に有益であることが示されました。これは、咀嚼時にプラークの機械的除去を促進するためと考えられています。
ただし論文では、尿路の健康や体重管理の観点からは高水分食(ウェットフード)にも利点があることも指摘されており、ドライとウェットの両方を組み合わせることが健康上有益である可能性が示唆されています。
毎日のオーラルケアについて
毎日の歯磨きは「ゴールドスタンダード」とされていますが、本研究では毎日のデンタルトリーツも同様の効果を示しました。
論文では、この結果について以下の要因を考察しています:
- 良好な歯磨き技術を達成することは難しい
- 実際の歯磨きの継続率は変動する
- デンタルトリーツは技術を必要としない簡便な代替手段である
まとめ
- 手作り食は、ドライフードや市販フードの混合と比較して、口腔健康状態が悪い傾向と関連していた
- ドライフードを含む食事は、口腔健康に有益であることが示唆された
- 毎日の歯磨きまたは毎日のデンタルトリーツは、口腔健康問題のリスク低下と関連していた
- 散発的なオーラルケアでは、毎日のケアと同等の効果は得られなかった
- 2歳以上の犬の45%、猫の55%が何らかの口腔健康問題を示していた
この研究は、犬と猫の口腔健康維持において、毎日のオーラルケア習慣と適切な食事選択の重要性を示しています。
論文情報
- タイトル:The impact of home-prepared diets and home oral hygiene on oral health in cats and dogs
- 著者: Catherine Buckley, Alison Colyer, Michal Skrzywanek, Katarzyna Jodkowska, Grzegorz Kurski, Jerzy Gawor, Michal Ceregrzyn
- 掲載誌: British Journal of Nutrition
- 発表年: 2011
- DOI: 10.1017/S0007114511000821
- 論文タイプ: オリジナル研究(横断的調査研究)
注意事項
- この記事は学術論文をもとに作成したものであり、個人の解釈を含みます
- 研究は英国の一次獣医療データに基づいており、全ての猫に一般化できるわけではありません
- 個別の症例については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください
- ブログ著者は獣医療行為を行うものではありません
※本記事はオリジナル研究論文を基にした要約です

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