今回読んだ論文「英国の一次獣医療を受けている猫における歯周病:頻度とリスク要因」
Periodontal disease in cats under primary veterinary care in the UK: frequency and risk factors
猫の歯周病はどれくらい多い?
英国のVetCompassプログラムを通じて、2019年に18,249匹の猫を対象とした大規模調査が行われました。
その結果、歯周病の1年間の有病率は15.2% でした。
これは猫で最も一般的な特定診断として報告されています。ただし、一次診療での視診による診断のため、実際の有病率はさらに高い可能性があると論文では指摘されています。
歯周病になりやすい猫の特徴
論文では、以下の傾向が報告されています:
年齢
年齢がリスクの最強の予測因子 として特定されました。
- 歯周病の猫の中央年齢:9.47歳
- 非歯周病の猫の中央年齢:4.94歳
年齢の上昇とともにリスクが急激に増加することが示されています。
体重
体重が4kg以上の成猫は、体重が3kg未満の猫に比べて歯周病のオッズが高いことが報告されました。
性別・去勢状況
去勢雄猫は未去勢雌猫に比べて高いリスクを示しました。
品種
特定の品種で高い有病率が観察されました:
- シャム猫
- メインクーン猫
品種間の違いは遺伝的要因を示唆しており、犬や人間の研究と類似した傾向が見られます。
歯周病と全身の健康との関連
この論文で注目すべき点として、歯周病が全身の健康状態と関連している可能性が報告されています。
併存疾患の数
- 歯周病の猫:併存疾患の中央数が3つ
- 非歯周病の猫:併存疾患の中央数が1つ
歯周病の猫は、少なくとも1つの併存疾患を持つオッズが1.79倍でした。
関連が示された疾患(オッズ比)
論文では、21の一般的な疾患と正の関連が示されました。主なものとして:
- 心臓不整脈(オッズ比 2.32)
- 耳排出(オッズ比 2.31)
- 毛玉(オッズ比 2.31)
- 慢性腎不全(オッズ比 1.92)
- 心雑音(オッズ比 2.01)
重要な注意点: これらは「関連がある」ことが報告されているものであり、歯周病が直接的な原因であると証明されたわけではありません。因果関係については今後の研究が必要とされています。
今後の課題
論文では、以下の点が指摘されています:
- 一次診療での歯周病検出率は低く見積もられている可能性がある
- 獣医教育の強化により検出率が改善される可能性がある
- 高齢猫への歯科ケアの強調が、猫の健康向上に寄与する可能性がある
まとめ
- 猫の歯周病は最も一般的な診断の一つ(有病率15.2%)
- 高齢猫は特に注意が必要(年齢が最強のリスク要因)
- シャム猫やメインクーン猫などの特定品種でリスクが高い
- 歯周病は口だけでなく、全身の健康との関連も報告されている
- 早期発見と予防的ケアの重要性が示唆されている
この論文は、歯周病が猫の全体的な健康と寿命に影響を及ぼす可能性を強調し、高齢猫への歯科ケアが健康向上につながる可能性を示唆しています。
論文情報
- タイトル: Periodontal disease in cats under primary veterinary care in the UK: frequency and risk factors
- 著者: O’Neill DG, Blenkarn A, Brodbelt DC, Church DB, Freeman A
- 掲載誌: Journal of Feline Medicine and Surgery, 2023
- DOI: 10.1177/1098612X231158154
- 論文タイプ: オリジナル研究(疫学調査論文)
関連リンク: https://doi.org/10.1177/1098612X231158154
注意事項
- この記事は学術論文をもとに作成したものであり、個人の解釈を含みます
- 研究は英国の一次獣医療データに基づいており、全ての猫に一般化できるわけではありません
- 個別の症例については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください
- ブログ著者は獣医療行為を行うものではありません
※この記事はオリジナル研究論文を基にしており、個人の解釈を含みます。元の論文の利用については、出版社(SAGE Publications)の規約を確認してください。

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