今回読んだ論文「犬の歯周病の頻度と影響に関するレビュー」
A review of the frequency and impact of periodontal disease in dogs
診察方法で大きく変わる歯周病の発見率
動物病院での通常の視診(見た目での診察)では、「歯周病があると診断されるのは9.3〜18.2%」でした。
しかし、麻酔下で詳細に検査すると、44〜100%の犬に歯周病が見つかったと報告されています(研究によって幅があります)。
つまり、見た目だけでは分からない歯周病が多く存在する可能性が示されています。
歯周病になりやすい犬の特徴
論文では、以下の傾向が報告されています:
体のサイズ
小型犬は大型犬よりも歯周病を発症しやすい傾向があります。体重が減少するにつれて歯周炎のリスクが増加することが示されています。
年齢
年齢が上がるほど歯周病の発生率と重症度が著しく増加します。ただし、若い犬でも歯肉炎の兆候が見られることがあると報告されています。
口腔ケアの有無
口腔ケアの不足が歯周病発症の最も重要な危険因子とされています。歯垢の蓄積が歯肉炎と歯周炎に関連していることが指摘されています。
どの歯が影響を受けやすい?
論文によると、特に影響を受けやすいのは:
- 切歯(前歯):上顎・下顎ともに
- 第4前臼歯
- 第1臼歯
- 犬歯:一部の品種では関与する可能性があるとされています
歯周病と全身の健康との関連
この論文で注目すべき点として、歯周病が全身の健康と関連している可能性が指摘されています。
具体的には:
- 腎臓の病理学的変化
- 心筋の病理学的変化
- 肝臓の病理学的変化
- 心内膜炎や慢性腎不全などの診断リスク増加
重要な注意点: これらは「関連がある」ことが報告されているものであり、歯周病が直接的な原因であると証明されたわけではありません。因果関係については今後の研究が必要とされています。
予防と管理について
歯ブラシによる歯磨き
論文では、歯ブラシによる歯磨きが最も効果的なプラーク除去方法として紹介されています。
ただし、飼い主さんが継続することが難しいという課題も同時に指摘されています。
推奨される対応
論文では、定期的な専門的歯科治療と家庭でのケアの組み合わせが必要であるとされています。
まとめ
- 通常の視診だけでは歯周病を見逃している可能性がある
- 小型犬やシニア犬は特に注意が必要
- 口腔ケアの習慣が予防に重要
- 歯周病は口だけでなく、全身の健康との関連も報告されている
この論文は、早期診断と予防的介入により、多くの犬とその飼い主の生活の質を向上させる機会が獣医師に与えられていると結論づけています。
論文情報
タイトル: A review of the frequency and impact of periodontal disease in dogs
著者: Wallis C, et al.
掲載誌: Journal of Small Animal Practice, 2020
DOI: 10.1111/jsap.13218
論文タイプ: レビュー論文(複数の研究をまとめたもの)
注意事項
- この記事は学術論文をもとに作成したものであり、個人の解釈を含みます
- 研究によって結果に幅があることをご理解ください
- 個別の症例については、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください
- ブログ著者は獣医療行為を行うものではありません
※この記事は複数の研究をまとめたレビュー論文を基にしており、個人の解釈を含みます。元の論文の利用については、出版社(Wiley)の規約を確認してください。


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